当方、社会不適合につき

アスペ系社会不適合者奮闘記 25歳現在

カニ

努力する人間を見ているのは好きである。自分も努力したいという気持ちがありながら、いざその環境下に置かれればすぐに折れてしまう傾向がある。というか努力の方向性を見誤って失敗する。「本当はやればできるんじゃないか?」という自信過剰すぎる期待がある。根拠はない。根拠はないが努力は報われると信じている。むしろ失敗の経験の方が多いのだが・・・。

 

 

ベーリング海の一攫千金」という番組がある。非常に有名な番組だ。アメリカとロシアの国境に広がる極寒のベーリング海で、タラバガニやズワイガニを取るために奮闘するカニ漁師たちにスポットを当てたアメリカのドキュメンタリー番組だ。

 

現在Yourubeのディスカバリーチャンネルでシーズン4が期間限定公開されている。5隻の船でそれぞれ繰り広げられる人間模様とカニ漁の過酷さ。非常にドラマチックで面白味がある。一周したのだが面白いのでもう一周しようと思う。過酷な環境で奮闘する人々は美しく見える。

 

中でもキース船長率いるウィザード号の新人二人が対照的だった。

 

人生もう後がないと決意して船に乗り込んだモイことジェイソン・モイラネン(30代)と、指示待ち人間でベテランたちから心配されるリンことリン・ギタード(21)の二人。

 

モイはカニ漁にやる気満々で、カゴへの餌付けや船長の小間使いに対して最初は文句を垂れていた。だが実際カニ漁が始まると、30時間労働4時間睡眠という過酷な環境。モイの体力は持たない。

 

一方のリンは最初こそ指示待ち人間だと揶揄されてはいたが、若さと活力があり、仕事に全力で取り組む。ベテランたちはリンがカニ漁をなめていると心配していたが、いざカニ漁が始まると若さもあってか過酷な労働を乗り切り、ベテランからのいびりにもなんとか耐え、周囲にも期待されるようになる。

 

モイは容量も悪く、どうしてももたついてしまう。リンは器量も良く最初こそゆっくりだったが徐々に仕事をそつなくこなすようになる。船長はモイにやる気を出すように伝えるが、モイは同期のリンに比べて自分だけが文句を言われ続けている様な感覚に陥り、不満ばかりが募ってしまう。

 

ある日、疲れがたまって士気の下がった船員達に、やる気を出させるために船長のキースが船員たちに活を入れた。「全員もっと誇りを持って仕事をしろ」と。モイに対しては「リンに仕事を任せないでお前ももっと頑張れ」と告げた。

 

活を入れられた船員は作業スピードをあげて仕事に取り組んだが、ベテランのレニーは長年誇りをもってこの仕事を続けていたのに、キースにそのように言われたことがショックだったようで、少し様子がおかしい。キースはそのことを察してレニーを呼び出して誤解しないでほしいとフォローする。

 

しかしその様子を見てか、どうかは分からないが、その直後モイが船長室を訪れる。「俺もリンより頑張っているのになぜ怒られなきゃいけないのだ」と言わんばかりに船長に詰め寄るモイだったが、船の上で船長に逆らうことはご法度である。キース船長はもちろん、共に働く甲板員たちもモイの行動にはあきれ果て「アイツは何を考えているんだ」「新米が船長室に行くなんてありえない」「あいつはおかしいよ」と皆が口をそろえて言うようになり、最終的にクビになってしまう。

 

ウィザード号が水没しかけたときに全員がハイタッチし合っていたがモイだけハイタッチしていなかったようにも見えた。なんだか自分を見ている様で心苦しくなった。

 

そしてカニを食べたくなった。ついでに蟹工船も見ようと思った。